「シャニダールの花」という映画

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好き嫌いが別れ易い映画。 というか、
映画の方がお客さんを選んでしまう映画なのかもしれません。

映画の冒頭がすっごくクールで良いんです。
映像も音楽も。かっこいい。
(ぁ、ネタばれしちゃいますけどあせあせ)
主役の植物学者、大瀧の声で静かにナレーションが流れる。
次に暗闇の中から白いうなじを見せた大瀧が現れる。
そして体中から狂気を放ちながら画面を横切る。
題字が出て、数々の綺麗な花のアップ写真の上に出演者の名前が浮かんでいる。
私、このオープニング、大好きです!!!

話は、
限られた女性の胸に花が生えてくる。
その成分で特殊な新薬が作れないものだろうかと目を付けた製薬会社が作った研究所で、彼女たちの花を守り育て、満開になると高額で買い取る。
という『シャニダール社』での出来事から話は動き始めます。

研究所の中に作られた快適な生活スペースで生活する女性たちのセラピストとして入社した黒木華さん演じる響子は、綾野剛くん演じる大瀧とペアを組みます。
お母さんに気を使いながら、悩んだ末入所したハルカ。
両親に恵まれず、コンプレックスや寂しさを抱えながら、でもちょっとプライドの高いミク。
大瀧に恋心を持ち、咲いた花をシャニダール社に売り渡したら出所して大瀧に会えなくなると不安がるユリエ。
彼女たちと接していくうち、響子はこの胸に生えるシャニダールの花に深く深くのめり込んでいき・・・
と、あとはHP で
http://shanidar-hana.com/

物語は空想的なものだけど、映画の中の雰囲気はリアルっぽくてスマートです。
それは演じている人達の演技もあると思うけど、使われている建物(オール神戸ロケで、大学や植物園など)や美術や、衣装のスマートさも多いにあって。
白とベージュ(メタリック?)で統一された研究所内で、でも床はフローリングだったり、対照的に大瀧のプライベートな部屋は森の中を思わせるような植物に満たされた空間だったり、
衣装も、一見シンプルなTシャツのように見えて実は袖や脇に微妙にシャーリングが入っていたりシルエットがおしゃれだったり、
胸に花を守る窓の付いた服はちょっと宇宙っぽく未来っぽくみえても決して突飛ではなく、
そして、監督イチオシ!の白衣については、綾野剛君がとても簡潔で判り易い説明をしています。

芽大瀧の白衣は肩や腕の所に多少の圧迫感があり、それでいて裾の部分は軽やかで前から向かってくる物を全部放出するように風が抜けるようになっていて、
響子の白衣は丸みを帯びていて包容力があり、前から向かってくるものを全て受け止めるような感じ。芽

二人の白衣の違いは着ている二人の性格をよく現わしていると思うんです。

この映画の話の中で、響子はずっと一貫しています。
花にのめり込んでいってからも、自分の胸に花の芽が出てからも。
それに対して、大瀧はだんだん壊れていく、というか・・狂わされていくというか・・・
なので響子と向き合っていると凄く不安定で取り乱して急に大声になったり、独り言で自分を納得させてふさぎ込んだり。

私、「黒木華さんって、上手いな~~~」と思ったのは、そういう二人のシーンでした。
大瀧がどんなに乱れても、まるで、人知れず湧き出ている山奥の泉のように、慈悲深い菩薩様のように、響子は凛として静かに大瀧に向き合うんです。静かなのに、その奥では揺らぎのない小さいけれどしっかりした炎を持っているような。
良いですよ――。はるさん指でOK

この映画、私は好きです。
ただ、ラブストーリーとして捉えるなら、もう少し大瀧が響子を好きになって行く過程を見せて欲しかったし、
ファーストシーンで見せたようなミステリーっぽい話なら、もう少し花と、その花が人(世間)に与える影響を見せて欲しかったな。
・・・と。
あ、いえいえ、そんな事を細々言ってしまうと、この映画の輝きが縮小されてしまうような気もします。
なんで人の胸に花が咲くの??とか、
花を使ってどんな薬を作ろうとしていたの??とか、
話の途中で立ち止まって考え込んでしまわない方が良いんです。

立ち止まったら負けよ