『それでも夜は明ける』と言う映画

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今年のアカデミー賞で作品賞に輝いた『それでも夜は明ける』を鑑賞してきました。
あらすじ:
ニューヨークに暮らす音楽家のソロモン・ノーサップ
(キウェテル・イジョフォー)は生まれながらの自由黒人。
妻子とともに、白人を含む多くの友人に囲まれ、幸せな日々を送っていた。
だがある日、2週間の興行に参加した彼は、興行主に騙され
拉致された末、奴隷市場に送られてしまう。
自分は自由黒人だとどれだけ必死に訴えようが、
無駄な抵抗だと悟るのに時間はいらなかった。
そして名前も人間としての尊厳も奪われ、奴隷として
大農園主フォード(ベネディクト・カンバーバッチ)に買われていく。
それでも農場では、その有能さを認められ、温厚なフォードに
気に入られるソロモンだったが…

感想:
オスカー作品賞に輝いた作品で、受賞直後の最高のタイミングでの公開です。
しかしながら、内容は娯楽性皆無のアメリカの歴史の暗部を正面から
描いており、多くの映画会社が製作を断ったのも分かります。
タランティーノの『ジャンゴ 繋がれざる者』でも描かれてはいますが
これは、娯楽作品に昇華させておりますが、タブーな題材に真っ向勝負を挑む
あの名優と同名のスティーヴ・マックィーン監督は、これでもかとズシンとくる
描写を観る者に突きつけます。主演のキウェテル・イジョフォーに
人間の暗部の象徴のような役柄を演じたマイケル・ファスベンダーに
ねちっこくて嫌な小物を演じるのが妙にはまるポール・ダノ等の
迫真の演技が見物です。アカデミー助演女優賞を獲得した
ルピタ・ニョンゴについては、身体を張った演技が評価されたのかなと。
そして、制作者として作品賞のオスカー像を受け取ったブラッド・ピットが
物凄くかっこいい奴で終盤に登場します。これぞ役得ですな。
本作の製作にあたって、結果として、自らの製作会社Plan Bが
パラマウントと揉めてしまったけれど、本当良かったねと。

作品としての出来には文句のつけようが無いけれど
2013年を代表する歴史に名を刻む名作なのかという点については
意見が分かれる事でしょう。映画史という意味で考えれば
『ゼロ・グラビティ』の方が革新的で、映画に新しい可能性を示したと
私個人は思っております。それでもなお、この『それでも夜は明ける』が
作品賞を受賞したのは、アカデミーの協会員(白人の老人が大半を占める)が
アメリカの歴史の暗部を正面から描いた作品にたいしての
畏敬の念やら、自らの先祖達の行いに対する懺悔が多分に含まれた結果なのではと。
間違ってもデートムービーとしは選択しないで下さいね。
鑑賞後に重たい空気になりますよ、きっと。
(点数:80点)

原題:12 YEARS A SLAVE
製作年度:2013年
製作国:アメリカ
監督:スティーヴ・マックィーン
出演:キウェテル・イジョフォー、マイケル・ファスベンダー
ベネディクト・カンバーバッチ、ポール・ダノ
ポール・ジアマッティ、ルピタ・ニョンゴ
サラ・ポールソン、ブラッド・ピット
アルフレ・ウッダード、ドワイト・ヘンリー
ブライアン・バット、アシュリー・ダイク
ケルシー・スコット、クヮヴェンジャネ・ウォレス
タラン・キラム、クリストファー・ベリー
クリス・チョーク、アデペロ・オデュイエ
マーク・マコーレイ、マイケル・ケネス・ウィリアムズ
マーカス・ライル・ブラウン、アンワン・グローヴァー
ジェームズ・C・ヴィクター、ライザ・J・ベネット
ギャレット・ディラハント、ジェイ・ヒューグリー