展覧会で面白い発見

日曜日に三菱一号館美術館にヴァロットン展に行って来ました。

 フェリックス・ヴァロットンはスイスに生まれ、16歳でフランスに移住し、パリで活躍した画家だそうです。この展覧会を観るまで、一枚の絵を除き全く知りませんでした。版画や「ナビ派」に分類される油彩画を残していて、多くの影響を画壇に残した人みたいです。
 私が知っていた一枚の絵というのが、オルセー美術館所蔵の「ボール」という絵で、展覧会の代表作としてポスターとかにもなっているものです。私がこの絵を観たのはおそらく日本で開催されたオルセー美術館展で紹介されたときだろうと思います。その時には、どことなく郷愁に誘われる感覚があって、気になった絵だっったので、今回の纏まって画家の絵を観る機会を得たという訳です。

 纏まって画家の絵を観たら、全く作家に対する印象が違って見えました。裸体画、その他の油絵そして版画からは全く郷愁とか叙情性を感じる事ができず「ボール」という絵が画家にとって特殊な絵であることが解りました。多くの絵はどことなく冷たい感じで人を突き放すかのごとくの目線で画かれているのです。特に版画は油絵と画風が異なり、シニカルな題材が殆どです。人が好きな柔らかな作風は何処にも無く、あるのは無機質で人を生き物で無く置物か何かのように捉えたかのようでした。「ボール」の絵のカタログの解説も『不安』を連想させる絵のようなことを書いてあり、なるほど、他の絵を観るとそう捉えるのが自然だとも感じました。私が感じた幼い日の郷愁は、また不安でどことなく妖しい一瞬を切り取ったものであるのかもしれません。
 全体的な印象は、想像していた作風とは異なり、私が好きな画家の一人とはなりませんでした。しかし、一人の芸術家の画業を通して観ることができたことや、私が好きな絵である「ボール」の絵の画家の立ち位置がよく解る展覧会で面白い発見があり有益な展覧会となりました。
 タペストリーの展示によると、9月23日まで開催されていますので気になる方は観に行かれてはどうでしょうか。

 また、同時に「バルテュス 最後の写真-密室の対話」展も開催されていました。閉鎖された空間で観るバルテュスの最後の写真達は妖しいものでした。都美術館で観たバルテュスの絵の感じが写真からも漂ってきていました。こちらは9月7日までだそうです。